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36m道路 [街]

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 三鷹市民でも知らない人は多いと思うが、現在、市の南北を縦断する「調布保谷線」という道路の工事が進んでいる。今ある武蔵境通りを拡張するかたちで、市内での区間は井口1丁目や上連雀5、7、9丁目のあたりだ。この道路の幅員は36mとかなり広く(歩道を含む)、稲城市・矢野口と埼玉県を南北でつなぐ幹線となる。三鷹にはすでに、東西に延びる幹線「東八道路」(通称「30m道路」)がある。車線の数は少ないが、調布保谷線はそれを上回る規模だ。調布の深大寺ではこの計画が発表された際、周辺環境の破壊や騒音を危惧する市民による反対運動も起きた。36m幅の道を町中に強引に通そうというのだから、乱暴な話だ。しかし計画は遂行され、用地の買収が進み、すでに調布の深大寺近辺では一部区間が完成した。ちなみに行政側は道路整備の基本目標の中に、「快適な環境の創出」という文句を加えている。
 深大寺からの帰りに、調布側にある完成した区間を何度か自転車で走った。なるほど整備が行き届いて、見栄えがいい。歩行者と自転車、クルマ、それぞれのラインが余裕をもって作られている。歩行者と自転車の舗道、植樹帯は片側10mで、「環境施設帯」と呼ぶ。それにしても、基幹道路の割に車道の割合(片側2車線)が狭い。将来交通量が増えた際には環境施設帯をつぶして車道にするつもりか? と疑いの目で見てしまう。この計画道路が開通した場合、クルマの通行量がどのくらい増えるのか、それはまだわからない。調布保谷線は、東八道路、甲州街道、川崎街道に接続する。幸い、クルマを買う人の数は最近減っているというニュースが流れている。流通の恩恵を受けてはいるものの、夜中にトラックなどは走って欲しくないものだ。
 この道の沿線にも、やはり同じような風景が延々と続くことになるのだろう。小綺麗だが、触感の伴わない風景。建ち並ぶのは、鉄筋コンクリートにタイル貼りの建物。それがはたして、市民の将来にどのような影響を及ぼすのだろうか。道路が開通するのはまだ先だ。このあと工事が進む上連雀3、5丁目区間はまったくの住宅地。周辺の住民にとっては、工事や建物取り壊しに伴う騒音や振動を我慢する日々が続く。
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緑の相談所 [街]

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 神代植物公園の北側に「神代植物公園グリーンギャラリー」という名の庭園がある。ここは以前「緑の相談所」と呼ばれ、庭のほか、中央に位置する建物や温室が利用されていた。その名称のころは、土日になると散策ついでの人も含めそれなりに市民が訪れて、季節の植物の手入れに関するアドバイスや講習などを受けていた。敷地には和風の垣根を再現した見本園などがあり、当時は手入れも行き届き、そこを興味深く散策する人々の姿を目にしたものだ。緑の相談所の運営は8年ほど前に廃止となり、建物や温室は閉鎖され、今では廃屋に近い状態だ。
 現在も入園は可能だが(無料)、以前のような趣はない。来園者が散策できる程度に手入れされているにすぎず、訪れる人はごく少数。私は、その適度な荒れようがそれなりに気に入ってはいる。ただし、冬場などは寒さも手伝ってうら寂しい気分になる。園内でときどき写生をしていると、数年ぶりに来た昔の利用者が「ここはどうしてしまったんでしょうか?」と、不安そうな目で質問をしてくることがある。以前の環境を知る者にとっては相当な変わり様だ(それでも、一部の花壇などは細々と整備してある)。予算の切り詰めによる都の采配だろうが、36m幅の道路は頼まなくても造る割に、緑化に関しては冷淡すぎる。行政は道路は造れても、街作りができない。「東京ローカル」などと呼ばれる理由はここにある。市民が庭の手入れに参加する方法もあるかもしれない。次世代がなんとかするしかないだろう。
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神代植物公園の雑草 [街]

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 バラ園で有名な調布の神代植物公園。この時期は連日花見客で賑わっている。大混雑の井の頭公園などと違って、シートが敷けるのは園内中央にある芝生広場だけなので、各所の桜をゆっくりと見ることができる。散策ルートはいろいろあるが、正面入り口から左周りで深大寺門付近まで行って、芝生広場経由で戻ってくるのがベーシックな順路だ。桜の時期はその逆の、右回りもいいだろう。最後に温室を見れば、園内をだいたいカバーしたことになる。梅から始まり、桜、春のバラ、サツキ、秋のバラ、紅葉——と、年間5回以上来園するであろう人は、年間パスポートを購入することをお勧めする。
 最近はどのシーズンでも、デジタル一眼レフを手にする来園者の姿が多くなった。上級者向けの機種と望遠レンズ、堅牢な三脚などで装備を固めた60代くらいの夫婦も増えている。コンパクトカメラからデジタル一眼レフへの移行が顕著になったのがこの1、2年ほどだ。デジカメ市場の変遷が公園内で見て取れる。そして神代植物公園もこの数年で様変わりした。いちばん変化したのは、一部の区域の植物分布だろう。といっても、植生的な分布ではない(ちなみに私は植物の名前にまったくうとい)。単純にいえば、名札が付いていない植物や低木が公園管理側によってすっかり刈り取られたことだ。その面積はかなり広い。おかげでこの公園は現在、いたるところの見通しがよくなっている。要するにあれらの草木は、公園管理側にとっては単なる雑草、雑木だったということなのだろうか。あれほど小綺麗になってしまうと、以前のうっそうとした園内を知っている者としては味気なく、つまらなささえ感じてしまう。空気のうまさも半減したような気がする。欧米式のような、整理された庭園だけが方法ではないだろう。最後の砦、深大寺門の西にある原生に近い状態の自然林だけは恒久的に残してほしいものだ。
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花見 [街]

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 横浜・金沢区に花見に行った。公園や道路を覆うように咲く満開の桜とたくさんの人出。日本人の花見好きについての話でよく言われるのが、桜が「ハレ」の世界に通じるという見方。確かに、桜が開花するさまは非日常的だ。狂い咲きといってもいいだろう。ごつごつとした岩肌のような黒い幹と花びらの対比の差がそれをいっそう際だたせる。この花の咲きようを見て気分が高揚することは認めるが、私は満開の桜はあまり好きではない。どうにも勢いがありすぎる。桜の特徴は花の色やかたちではなく、もっぱらその量感にある。そのため、咲くというよりも「現れる」といったほうがいい。少々不気味で黒々とした幹の先に、化学の実験で出来上がる結晶のような花びらのアンバランス。その現れ方がハレに通じる所以なのだと思う。桜ほど、酒に合う花はない。夕べの宴の酔いが醒めるころ、その花弁は散り始める。
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禅林寺通り [街]

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 三鷹には、南口の駅前通りと平行に伸びる「禅林寺通り」という名の細い道がある。その名のとおり、この道の突き当たりには禅林寺という寺が位置し、太宰治の墓があることで有名だ。具体的にいうと、太宰治の墓は突き当たった白い塀のすぐ向こう側に建っており、その近くには黒松や、見事な桜が枝を広げている。なぜかほとんど話題に上らないが、太宰治の墓のすぐ斜め向かいには森鴎外(森林太郎)の墓もある。以前書いたが、駅に近い方のこの通り沿いには現在5棟のマンションが建築中で、日中は非常に騒々しい状況になっている。
 禅林寺通りは風情のある通りだった。過去形になってしまうのが残念だが、通りに面した住宅がこの数年の間に、改築やマンションへの置換えでことごとく姿を消してしまったためだ。何が気に入っていたかと言えば、昭和の香りを残したたたずまいの玄関を構えた住宅。夕方このあたりを通ると、それぞれの玄関に質素な外灯が灯り、懐かしさと気持ちの安らぎを覚えた(私が単に古い住宅好きということもある)。ただそれだけのことなのだが、各戸の明かりとわずかにデザインされた門扉や玄関ドアからくる印象が、いかにも人が住む「街」らしかったのだ。近年の住宅やマンションに、その風情はない。丁重に他者を拒絶する。思えば、もう少しその風景を写真に収めておくべきだったと後悔している。この数年がその最後のチャンスだったのだ。春になると、たくさんの真っ赤なバラを塀や壁づたいに咲かせる家、蔦に覆われた賃貸住宅などは撮っていたのだが。東京の各地にもまだ、このような通りや住宅が残ってはいるだろう。しかしそれらもあと数年の命かもしれない。無味乾燥な現代の住宅やマンションに取って代わられる。残すことはかなうまい。写真に収めるならいまのうちだ。
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中近東文化センター [街]

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 三鷹市大沢にある中近東文化センターに行った。企画展のたびに、もう十年以上通っている博物館だ。今回のテーマは「ペルガモンとシルクロード」。目玉は、ドイツにあるペルガモン博物館所蔵のペルガモン大祭壇の浮彫りフリーズという彫刻。巨人族と神々の戦いなどを表現した彫刻のごく一部が出品された。企画展の写真撮影は禁止とのことで、大理石の彫刻の写生の可否を聞いたところ、残念ながらそれもかなわず。本日の目当てはそこにあったのだが……。「大祭壇浮彫り断片 巨人族の頭」の風合いと造形美を目に焼き付けた。
 中近東文化センターは財政的な問題で一時閉館となったが、市の協力などのおかげで再開を果たした。交通が少々不便な場所にあるのが残念だが、常設展示には、古代中近東の美術品・工芸品のほか、ロゼッタストーンの複製やエジプトのミイラの木棺(これは本物)、正倉院にある白瑠璃碗に似たカットグラスなどが展示してあり、それらをゆったりゆっくり見ることができる。三鷹市民の入館料は安い。歴史好きでなくてもいちど訪れてほしい博物館だ。
タグ:博物館
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小田急バスの騒音 [街]

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 道路幅の拡張工事に伴い、近所の交差点付近にあった看板や塀などの遮蔽物、建物が取り壊された。そこで聞こえてきたのは、思わぬ騒音だった。道路交通の騒音源といえば、まず暴走族と大型トラックが挙げられるが、我が家の場合、それは路線バスである。赤信号の停止、そしてバス停からの発進時に発せられるのは轟音といってもいいレベルのエンジン音。これまで、バスというのは温厚な象のような乗り物のようにとらえていたが、どうしてどうして、低速ギアで引っ張る発進音は相当強烈だ。しかも交差点なので、東西南北どの方向からもバスは来る。

 ダメもとで、市役所に遮音板などの設置を掛け合ってみたが、なんら動く気はなし。うちの近所の道の騒音レベルは、騒音規制法のデシベル(6時から22時までの時間帯で75デシベル)を下回っているという。ただし騒音の測定場所は交差点の近くではなく、少し先の水道タンクの側。また、測定値は特定時間帯のサンプルの平均を取り、自動車の発進音のみを取り上げて基準と照らし合わせることはしないとの回答。どうにも腑に落ちない。バス会社にはこちらの苦情を伝え、対応を促したと言ってくれたが、そんな話を素直に聞く運輸業者などあろうはずもなく、具体的な進展はなかった。逆に、以前よりもうるさくなったようにさえ感じられるのは気のせいだろうか。ちなみに私は近年、バスをまったく利用していない。雨であっても、出かけるときはいつも自転車だ。

 あらためて見ると、市内を走る小田急バスの台数は相当多い。市内交通におけるバスの騒音の比率は、一般の車両に比べて間違いなく高く、道路沿線の市民にとっては騒がしい乗り物になっていると思う。特に低床タイプの車両のエンジン音は問題だ。最近話題のハイブリッド車の利用は民間が盛んだが、公共機関ともいえるバスも早急に導入を検討すべきだろう。ハイブリッドバスの開発元としては、日野(ブルーリボンシティ・ハイブリッド)、三菱ふそうトラック・バス(エアロスター・エコ・ハイブリッド)などがある。できればハイブリッドとはいわず、電気自動車に切り替えてほしい。騒音および排気ガスの面からみて、公共性が高く、台数が多いバスの動力源の再考を望みたい。
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三鷹 [街]

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 三鷹駅前は、日本のほかの街同様この20年ほどで大きく変わった。駅舎はもちろん、南口駅前の第九書房、第九茶房、映画館、楽器店、レコード店、カメラ店など、文化的な店がことごとく姿を消し、その代わりパネルとガラス、タイル張りの無機質な建物がロータリーと駅前通りを囲む。
 さらに最近では、駅前通りに平行する禅林寺通りの変貌が激しい。この数ヶ月の間にいくつかの邸宅やアパートが取り壊され、大きなマンションが5棟も現れた。静かだったこの裏通りを連日、ミキサー車や大型トラックが走り、警備員がホースで道に水を撒く。日本人は、街を捨て、通りを捨て、文化を捨て、それでも平気な顔をして日々を過ごしている。私は、これからこの街を、この状況を生きる若い人たちを気の毒に思う。それでも、次世代なりに新しいことを始めればいいんじゃないか、という人がいるかもしれない。しかし、紙も貼れず、虫もとまらない壁で囲まれ、座る場所もなく、立ち止まることも許されない街で何かを生み出す(見つけ出す)のは容易ではない。見えるものすべてが、なにか硬質なもので覆われている。そこには、タイルやガラスに限らず、われわれの意識も含まれる。
 三鷹駅前にある、鏡面ガラス張りのビル。私はこれまで、その足下に墜落した小鳥の死骸を2つ見つけた。建築家はその死を知っているだろうか。BS放送の旅行番組などで、外国の街の住人が、「自分たちの街が好きだ。世界で一番だ」と話すのを見るとき、うらやましいと思う。
タグ:三鷹
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深大寺 [街]

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 昨日買ったばかりのデジタル一眼レフカメラを持って、深大寺に出かけた。お彼岸なので、墓参りをしたのち神代植物公園沿いの道を歩き、裏手の乾門から境内に入った。200mmの望遠レンズはデジカメに付けると320mmほどになり、被写体を選ぶ。黒澤明監督が撮った長玉の映像などを思いながら、シャッターを切った。
 山門を出て、門前の「八起」で名物の焼きまんじゅうを食べ、さらに蕎麦まんじゅうを1箱買い、陶器店「武蔵野深大寺窯」でお猪口も購入。深大寺窯の品は、底に「深」の文字が書かれてある。素人目だが、ときどきいい湯飲みなどが掘り出し物であったりする。朝、風雨だったせいか、休日であっても人出は少なかった。八十八代住職の就任を祝う紙が各所に掲示されていた。
タグ:深大寺
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