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ロバート・ライマン展(ファーガス・マカフリー東京) [美術]

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 先日、ファーガス・マカフリー東京で開催されたロバート・ライマン展を観た。
ロバート・ライマンは白を使った作品で有名になった米国の作家。2005年、世界文化賞受賞のために来日したこともある。

 私は2015年から白い絵具を使った作品を制作しはじめた。その過程で偶然この作家を知り、興味を覚えた。若いころはサックスプレイヤーを目指し、MoMA(ニューヨーク近代美術館)の警備員の仕事をしているときに、マーク・ロスコ、ウィリアム・デ・クーニング、ジャクソン・ポロックやバーネット・ニューマンなどの名だたる現代美術作家の作品に触れ、自らも美術家として進むことを決めたエピソードなどを知る。「“何”を描くかは全く問題ではない。“いかに”描くか、それだけが問題だ」と語っている。

 絵具とキャンバスに限らず、ロバート・ライマンはさまざまな素材を使う。樹脂や鉄、アルミ、布、木、紙など。実物を観た記憶がなかったため、今回の展示はとても楽しみにしていた。実際に作品を前にした印象は淡白で物静かだった。タッチが予想以上にラフというか無造作であり、その半面、支持体への気配りはかなり厳密で繊細なものだ。白い絵具が主だったが、刷毛の目をわずかに残した薄いグレーの作品もあった。

 表面(サーフェース)と四角(区切られたスペース)が重要な要素だ。突き詰めれば、「表面に塗っている」、このひと言に尽きる。古典の技法や遠近法、神話性、物語性、社会性などをすべて取り除いたとき、現代の絵画に残るのは「表面に塗る」ことだ。絵具を支持体表面にこすりつける。ロバート・ライマンの無造作な筆致は、その「事実」と絵画の物質性を表わしているように見えた。

 今年3月にオープンしたばかりのファーガス・マカフリー東京は佇まいのいいギャラリー。内装はシンプルだが、細かいところまで配慮されていた。障子風の全面ガラス戸からの採光が柔らかく、自然光によって作品が映える。

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無題 (1961) 油彩、ブリストル紙 22.7x22.9 cm

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無題 (1980/2003) 油彩、鋼板 48.3x48.3 cm

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Stamp (2002) 油彩、キャンバス 35.6x35.6 cm
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