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福島第一原発3号機のMOX燃料 [原発]

 これまでメディアで報じられてこなかったが、地震で被災し、制御不能の渦中にある福島原発3号機は、燃料の一部にMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物)を使っている。これは、使用済みの核燃料からプルトニウムを抽出しそれを再利用したもので、いわゆる「プルサーマル」と呼ばれる技術だ。ちなみに、3号機以外の原子炉は燃料としてウランを使っている。
 プルトニウムは、ウランよりも放射線量(中性子)が格段に多く、危険性も高いという。毒性の強いMOX燃料の使用は原発反対派に指摘され、一部の人々の間では大きな問題になったが(世間のほとんどの人は関心を示さなかった)、結局昨年10月から3号機で利用が開始された。この点で、福島第一、第二原発の中では、3号機が最も危険な原子炉と言えるだろう。
 3月12日に1号機、3月14日に3号機の建屋がそれぞれ爆発で吹き飛んだとき、私は本当に背筋が凍る思いがした。200km圏内に高濃度の放射性物質が拡散する大惨事を予感したのだ。発電所付近の人々はほぼ死亡するという予測を反原発グループ作成の資料で以前読んだ。幸い、それはいずれも水素爆発によるものだったことがわかり、とりあえず難を逃れた。不幸中の幸いとはこのことである。
 しかし、いまもって予断を許さない状況である事に変わりはなく、今日3号機およびその中央制御室に外部電源が通電したとはいえ、冷却装置はいまだコントロール下にない。東京消防庁が必死になって続けている貯蔵プールへの注水作業はあくまで一時的な措置だ。圧力容器内にあり、ウラン燃料よりもさらに高熱を発するMOX燃料は手強い敵といえるだろう。もしメルトダウン(炉心溶融)が進み、MOX燃料が圧力容器を漏れ出て、格納容器内の冷却水と接触した場合、水蒸気爆発を起こす。これは最悪のシナリオだ。さすがに、学者も政府もこれまでそこに言及してこなかった。しかし、メディアはこの点をきちんと国民に伝える義務があったと思う。最悪のシナリオが現実になった後で、「実はプルトニウムでした」では済まされない。人命も多く犠牲になる。
 米国が当初、避難地域を80km圏内に設定したのは、同国がこの事故の深刻さを(日本政府よりも)認識し、さらには3号機のMOX燃料使用を知ってのことだったからではと私は思っている。横須賀に駐留する米軍の人員を避難させているという情報も届いた。電磁波の人体への影響問題も同様だが、日本の学者や技術者、産業界、そしてそれにつられて政府機関は、危険の基準を甘く見積もる傾向が強いようだ。それは要するに想像力が欠如し、人命を軽視しているからにほかならない。
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