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ジュリアーノ・カルミニョーラ with ヴェニス・バロック・オーケストラ [音楽]

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 三鷹市芸術文化センターで「ジュリアーノ・カルミニョーラ with ヴェニス・バロック・オーケストラ」の演奏を聴く。プログラムはすべてヴィヴァルディ(All-Vivaldi Program)。ヴェニス・バロック・オーケストラは一昨年も同センターで演奏を行っており、それを聴いた妻は絶賛していた。この組み合わせによる今回の日本公演は、兵庫県立文化センターを皮切りに計6回行われ、三鷹はその4日目。また、ジュリアーノ・カルミニョーラはこのほか、東京と京都で別途リサイタルを開いている。
 ヴェニス・バロック・オーケストラの演奏は期待に違わず非常に素晴らしいものだった。美術品のような美しさともいえる、繊細で普遍的な音。13人の楽団員が奏でる音楽は、精巧さと大胆さ、艶やかさと荒さ、弦楽の豊かさとよどみない流れを備え、それでいて、各人の個性が見える。これまでにこのホールで聴いた楽団の中でも、抜きんでた表現力を持っていた。私はこのジャンルの音楽を聴くことは少ないが、同オーケストラの古楽器演奏からは、ヨーロッパ音楽の神髄というようなものを感じた。素人ゆえの感想を加えるなら、これぞ「本場の音」という印象だ。
 最初の3曲はヴェニス・バロック・オーケストラのみの演奏。4曲目の協奏曲からジュリアーノ・カルミニョーラのバロック・ヴァイオリンが加わる。カルミニョーラの演奏がまた見事だった。独特の力強さと躍動感を備え、時として足を踏み鳴らし音楽に打ち込む姿は聴衆をぐいぐい引き込む。同時に表現に多彩な幅があり、ヴィヴァルディならではの高揚感を巧みに表し、ホールを音楽で彩る。ちなみに、カルミニョーラが奏でたバイオリンは、ストラディヴァリが最晩年(1732年)に製作した「バイヨー1732」という名器とのこと。とてもよく響き、私はその力強く多彩な音に魅了された。
 両者の演奏は卓越しており、満員の客席からは曲ごとに盛大な拍手が送られていた。アンコールは「四季」を含む5曲。四季まで聴けたことで私はさらに満足し、ほかの聴衆も同様だっただろう。このような演奏会が地元で聴けることをありがたく思う。日曜の夜、至福の時間を過ごした。

【プログラム】
弦楽と通奏低音のためのシンフォニア イ長調
弦楽と通奏低音のための協奏曲 ホ短調
弦楽と通奏低音のためのシンフォニア 変ロ長調
ヴァイオリンおよび弦楽と通奏低音のための協奏曲 変ロ長調op.8-10《狩り》
ヴァイオリンおよび弦楽と通奏低音のための協奏曲 変ホ長調op.8-5《海の嵐》

ヴァイオリンおよび弦楽と通奏低音のための協奏曲 ハ長調op.8-6《喜び》
ヴァイオリンおよび弦楽と通奏低音のための協奏曲 ト短調op.8-8
ヴァイオリンおよび弦楽と通奏低音のための協奏曲 ニ長調op.8-11

2010.11.28 三鷹市芸術文化センター 風のホール


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