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渡辺香津美ソロコンサート [音楽]

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 芸術文化センター・風のホールで渡辺香津美のソロコンサート「ギター・ルネッサンス」を聴く。デビュー40周年記念。
 彼のソロコンサートに行くのは実に26年ぶり。以前行ったのは大学生のころ、六本木のPIT INNで行われたライブを友人と二人で聴いた。どのような曲を演奏したかもはや覚えていないが、そのテクニックと表現力に圧倒された記憶がある。なにしろ、YMOやKYLYNで活躍したギタリストだ。演奏もさることながら、当時の学生からすれば雲の上の存在だった。その後、2002年ごろにとある音楽配信会社の発表会で、渡辺香津美が生ギターで「ノルウェーの森」を演奏したのを聴いたことがある。
 今回のプログラムは、ビートルズからジャズ、クラシックまで幅広い曲目で構成されていた。ここに自作曲も含まれる。1曲目はビートルズの「アクロス・ザ・ユニバース」。親しみやすいメロディーラインと、音色の豊かさ、技巧に引き込まれる。2曲目の自作曲「ブルー・スティール」に、この人独特の色彩感覚が表れる。特に黒の表現ともいうべき硬質なイメージは、艶があり渡辺香津美ならではだ。3曲目の「スリー・ビュー・オブ・ア・シークレット」(ジャコ・パストリアス)では、風景が見え、曲想が豊か。幸福感を表現していた。次にスタンダードナンバーが続く。いずれもピッキング・ハーモニクスが美しい。自作曲「パッシー・ホーム」は12弦ギターを使い、それによるエスニックな風味が新鮮。休憩をはさんで第2部の1曲目は、バッハの「無伴奏チェロ組曲第一番」。その後は定番の「マイルストーンズ」。そして、疾走感が見事だったチック・コリアの「スペイン」。スピード感、グルーブ感ともにすごい演奏になった。それを裏打ちしているのが、正確で自在なリズム感だろう。エンディングは12弦ギターによるアグレッシブな自作曲「ジャミング・イベリコ」で締めくくった。
 技術、編曲、解釈、どれをとっても完成度が高く、多彩さがある。職人的といえばそれまでだが、解釈の能力が素晴らしい。さらにこの人は演奏だけではなく、作曲にも秀でており、印象的な曲想と表現を持つ。演奏、作曲とも音の紡ぎ方が独特で、これは天賦の才といえるだろう。

第1部:
「アクロス・ザ・ユニバース」(ジョン・レノン/ポール・マッカートニー)、 「ブルー・スティール」(渡辺香津美)、 「スリー・ビュー・オブ・ア・シークレット」(ジャコ・パストリアス)、 「オーバー・ザ・レインボウ」(ハロルド・アレン)、 「ステラ・バイ・スターライト」(ヴィクター・ヤング)、 「ヌアージュ〜マイナー・スゥイング」(ジャンゴ・ラインハルト)、 「パッシー・ホーム」(渡辺香津美)

第2部:
「無伴奏チェロ組曲第1番“プレリュード”」(J.S.バッハ)、 「新世界 第2楽章 ラルゴより」(ドヴォルザーク)、 「トチカ・アイランド」(渡辺香津美)、 「死刑台のエレベーターへのオマージュ」(渡辺香津美)、 「マイルストーンズ」(マイルス・デイビス)、 「スペイン」(チック・コリア)、 「ジャミング・イベリコ」(渡辺香津美)

アンコール:
「ヘイ・ジュード」

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