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中国の鍋と湯 [世界]

 最近の中国政府がとった一連の行動を見ていると、不可解なことが多い。理屈が通らず、強引で、国際社会から批判を浴びるような政策を進めている。特に日本に対しては、尖閣諸島の一件以来強気な姿勢を崩していない。

 これがなにを意味するかと考えると、共産党が支配しているこの大きな国が、強国ぶりを演じ続けなければならない現実にいき当たる。要するに13億人の国民に対するアピールだ。一党支配の実体は、大鍋にお湯がなみなみと入ったあやうい状態をなんとか舵取りしているにすぎない。現在の火加減は中火である。ところが、なにかの拍子に別の場所に火が付き、強火になって煮えたぎり、湯が鍋からあふれることもあり得る。中国共産党はその事態をいちばん恐れているのではないだろうか。

 天安門事件がまさにその事態だった。湯が沸騰してあふれ出したので、急いで軍事力で強引に沈静化させた。多数の学生たちを撃ち殺し、戦車で挽きつぶしたことは記憶に新しい。沸騰させないようにお湯をほどよいぬるさにしておくには、中国という国が万事うまくいっている、世界でも重要な国に成長したことを国民に示さなければならない。

 民主主義でない分、国民や少数民族をなにかしらのかたちで抑圧し国家を維持している。その代償として、自国が強国であることを明示する必要があるのだろう。間違っても、「日本に対して弱腰だ」などと国民に言わせてはならない。反発が国政に向かう事態はなんとしても防ぐ。火加減のコントロールのためには反日教育も行い、そしてデモもさせる。しかし、デモが加熱しすぎないようにする配慮も忘れない。万博が大成功だったと思わせる。中国政府というのは、そんなことに始終腐心しているのだ。とはいえ、国家というのはどこもそのような側面を持っている。アメリカが軍事力を誇るのもある意味で国内への広告宣伝だ。経済の発展は強いアメリカ(軍)が下地にあるから、というアピール。ロシアが領土問題を気にかけるのも同じ。中国は共産党一党が13億もの人民と広大な国土を束ねるために、その傾向が特に強い。

 中国は湯加減を気にするあまり、軍拡を進め、身勝手な対外政策を行う。一方でそれが行きすぎると、ゆくゆくは世界で孤立してしまう。どうにも危なっかしい。かといって、国民が目覚めて共産党に不満の矛先を向け、あの大鍋から湯がとめどなくあふれ出したら、共産党では収拾がつかず、周辺各国に影響を及ぼすかもしれない。いずれにせよ、かの国の潜在的な熱量は相当なものだ。
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