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リチャード・ゴーマン展 [ART]

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 三鷹市美術ギャラリーで「リチャード・ゴーマン II」展を見る。同ギャラリーでは2度目の企画展とのこと。作家はアイルランド出身。技法は、アクアチント、木版、油彩。'90年代初めには福井県今立町に長期滞在し、自ら和紙を漉き、作品を制作したという。
 円と四角をベースにした単純なかたちと単色の色面による絵画だ。どの作品も、幼児の玩具に通じるゆるやかなイメージを醸し出す。ここからなにかを探すでもなく、なにかに置き換えるでもなく、ただ目でかたちを追い、色を味わう。
 近年の作品ほど、形態と色彩の均一化と単純化が進む。2005〜2007年ごろの木版作品(「Big Red」「Big Grey」「Big Orange」)には、形態の不定形さや木目、刷りのかすれがあり、目で触れることができた。2008年以降は記号化が強まる。
 この単純な絵を描くとき、作家は自らのポジションをどこに置いているのだろう。自然や人間、あるいは社会、思考——といった対象すら存在しない場所にいるのか。そうではなく、それらを再構成した末の結実なのだろうか。フロアを回りながら、ついあれこれと考えてしまう。読み解きに陥らずに、視覚だけで感じることも大切だ。リチャード・ゴーマンの絵画がだれかの家の居間に飾られたとき、そこにおのずと答えが現れるのかもしれない。

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