SSブログ

染谷亜里可さんの「モンスター」 [ART]

20100513_someya.jpg

 昨日、銀座のギャラリーを2軒回った。1軒目は、定期的に行われている友人たちのグループ展。皆同じ大学出身。それぞれ作風はまったく異なるが、共通のテーマを作品に盛り込んでいた。もう一つは、浜田 浄氏の個展。場所はギャラリー枝香庵。この人は、刃物でつけたような細長い切れ目から赤い地の見える版画作品が知られている。最近の作品は、点描のような反復や何層か重ねた画面を木彫りの彫刻のように削ったもの。以前、ぎゃらりー由芽で同氏に会った際、「あなたはなぜ絵を描いているのか?」と尋ねられて答えに窮し、いい加減な理由を返した覚えがある。そんなことは簡単に言葉にできるものではない。もっとも、絵を描く理由があったら絵など描かない。とはいえ、その後も自己の中でこの問いがときどき反響する。自分はなぜ筆をとるのか。絵画を目指すのか。今回も本人が在廊していたが、知人と話こんでいたので、質問されずに済んだ。ギャラリー枝香庵はビルの上階にあり、屋上に通じている。屋上のテラスでお茶をごちそうになり、気持ちのいい時間を過ごす。来客の男性が、最近娘が初めて作品を購入したとギャラリーの女性に話していた。Webの記事によれば、先日開かれたアートフェア東京2010でも入場者が5万人を超え、売り上げも上がったという。このところ、作品の新規購入者が増えてきているようだ。
 今日は、会社の近くのケンジタキギャラリーで染谷亜里可さんの「モンスター」を見る。作家に話を聞いた。作品はベルベットを脱色して制作したという。ストイックな作業とのこと。明かりに照らされた影絵のようなモンスターのイメージが興味深かったが、ベルベット特有の深みと光学的な変化もなかなか魅惑的だった。この作家の内面にあるのは、反転あるいは日常の裏側か。非日常的なモチーフとベルベットという組み合わせから、デビット・リンチを思い出した。染谷さんもこの監督の映画が好きだという。過去の作品では、「ブルーベルベット」の1シーンを描いていた。ベルベットというマテリアルをふすま絵のように使う手法は斬新で深みがあり、幻影のようだった。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 1

コメント 0

トラックバック 0

ボストン美術館展猫で204万円 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。