SSブログ

猫で204万円 [街]

 猫にエサをやったとのことで、立川の裁判所は棋士の加藤一二三さんに204万円の罰金を科した。加藤さんは控訴するという。いまどきには珍しく筋を通す人だ。私はこの人の考えに賛同する。

 猫は人と一緒に暮らす動物であり、それはたとえ野良であっても例外ではない。糞が迷惑とか、クルマにキズがつくだとか、鳴き声がうるさいとかは、人間の尊大な言い分だ。地面に勝手に線を引いて、ここはオレ様の土地だと主張するが、それは猫には関係がない話。彼らは人間と同じく進化し、人間に連れてこられて、いまここに生きているのだから。

 本来、猫が用を足していた森や林、草地を建物とコンクリートですみずみまで埋めてしまったのは人間だ。その事実を棚に上げてもらっては困る。猫が用を足したり、昼寝ができる緑地を確保するのが道理だろう。猫を箱につめて役所で殺すなどもってのほか。飼い猫を捨てる人間には刑罰を与えるべきだ。

 テレビの紀行番組を見ていると、ヨーロッパの街で猫が自由に暮らしている場面を目にする。彼の地の人々は心得ている。人がいるなら、猫がいてあたりまえ。それがまっとうな風景だ。猫以外の動物もしかり。ほかの動物と共存するのが人の道。

 今回の裁判の焦点は、集合住宅における居住者の「人格権」。判決は加藤さんのエサやりがこれを侵害したとして、野良猫を増やすなというところに落ち着いた。いまでは飼い猫は部屋から出さずにおく人が多い。部屋猫は去勢・不妊手術をされて交尾もせずに一生を終え、必然、子孫は絶える。いずれにせよ、猫に未来はなさそうだ。そして、猫を否定するような国ならば、芸術も文化もいつか消え去る。

 われわれは野良犬を絶滅させた。次は、虫であり、鳥であり、そして猫だろう。彼らは思っているに違いない。「最後は人間も消えるのに」と。
タグ: 野良猫
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

nice! 0

コメント 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。