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大河ドラマ「龍馬伝」 [テレビ]

 小学生のころの私は、夏休みや冬休みになると祖父母の家に預けられることが多かった。当時若かった両親は見ていなかったが、祖父母は日曜の夜、欠かさず白黒テレビでNHKの大河ドラマを見ていた。寝床でそれを一緒に見た記憶があり、そのせいで私も大河ドラマを見るくせがついていたのかもしれない。20代はテレビから離れていたが、その後は毎年見続けている。そういえばその昔NHKの定番ドラマシリーズに、「銀河テレビ小説」という番組があった。いま思うと、なんとロマンチックなタイトルだったのだろう。テレビに夢があった時代。きらめく星空と流れ星のオープニングが記憶に残っている。

 話を戻すと、今年の大河ドラマは「龍馬伝」だ。第1回から見ているが、今回は脚本や演出がいいように思う。第7回「遙かなるヌーヨーカ」では、龍馬が江戸での剣術修行から土佐に戻ったところから話が始まるが、複数の筋がテンポよくパラレルに進み、それぞれのエピソードに納得できる落としどころがついていた。これに編み込むように描かれた家族像。緩さと緊張。時間の使い方がうまい。私はこのような並列の筋立てが好きだ。例えば、小学5年生のときに見た黒澤明の「どですかでん」の強烈な印象はいまだに頭に焼きついている。時間をうまく使い、興味深いエピソードが並行に進んで帰結し、最後に残るひとすじの余韻。あのような彩りの映画を作れる監督はもう現れないのだろうか。

 今夜の龍馬伝では、父・八平役の児玉清の演技に引き込まれた。ようやく芽が出てきた息子の将来に想いをはせる老父のまなざし。大河ドラマシリーズをつらぬくテーマは家族だと私は思う。坂本龍馬という人物の資質をつくったのはまさに彼の家族環境だったと想像する。その点で大河ドラマという番組に合う部分が多い。また本職の役者とは目力が違うが、龍馬に大きな影響を与えた河田小龍役のリリー・フランキーのひょうひょうとした役作りも生きていた。本作においては適役だったと思う。そして、強烈な攘夷意識に染まっていく武市半平太。これで姉・乙女の存在感が増せば、より厚みが出ると思うのだが、本作は家族全体に力点を置いているため、乙女は司馬遼太郎の小説ほどには焦点を当てられていない。

 龍馬伝は30pのプログレッシブカメラで撮影された。ハイビジョンで見ると、その映像の質感と色には深みがあり、映画的だ。これと同時にセットにもだいぶ気が配られている。これまでの大河ドラマの場合、後半に息切れし、ロケや登場人物が減り、終盤に近づくにつれて回想シーンが増え、失速してしまうことが多いが、いまの調子で最後までいってくれることを願う。
タグ:龍馬伝
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