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ALFREDO JAAR [ART]

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 ケンジ・タキ・ギャラリーでアルフレッド・ジャーの個展を見る。'80年代に撮られた、南米チリにある金の採掘現場の写真。泥地の中、たくさんの男達がシャツと半ズボンといった服装で、掘ったり運んだり作業している。山間の谷のような採掘場で働く男達の姿を俯瞰で撮影したカットが2枚並ぶ。ギャラリーの人の話では、ニューヨーク在住のこの作家は、取材をして作品を制作するという。取材先は世界のさまざまな場所に及ぶ。ボートピープルを撮った作品や、その昔虐殺があったアフリカの水辺の写真も展示されていた。
 さて、採掘現場の写真は何を表しているのか。説明を受けなければわからないが、この作品で映し出された男達が採掘した金は、当然それを売買する他国の市場と購入者の元へ届けられる。男達の収入はごくわずかだ。そこに存在するのは、格差という言葉だけでは推し量れない世界の現実。
 ただし彼の行為は取材を基にしているが、ジャーナリズムによるものではなく、現代美術だ。透過フィルム製の写真は内照式ボックスのパネルに貼られ、壁に設置された横長の鏡に映し出される。鑑賞者はボックスの背後から鏡を見るようになるため、写真全体を把握することができない。ボックスの背面に刻まれた+とー。作品は、報道では感じられないイメージを想起させる。
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