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満員電車 [街]

 新聞の読者投稿欄に掲載された、40代の男性の体験談を読む。彼は最近、駅のホームで若い女に蹴られ、車中では男に絡まれたという。いずれも、他人を押しのけて乗り降りする混雑した状況での出来事とのこと。落ち度がないにもかかわらず被害に遭った、気の毒な話だ。私は混雑した電車には極力乗らないことにしている。満員電車などもってのほかだ。毎日中央線で新宿まで通っているが、満員電車にはまず乗り込まない(その時間帯に乗らないということもあるが)。あれは、人間の利用する乗り物ではないと思うのだ。

 満員電車は人格を壊す。人間は本来、他人と共存するための適正な距離感覚を持っている。満員電車は、磁石のSとS、NとNを無理矢理くっつけるように、人間性の否定を公共の場として実行する。見えない暴力で人間を「物」にする装置だ。戦場に送られる前に行われる新人兵士の訓練に近い。

 私も20〜30代のころに、10年間ほど中央線や京王線の朝の満員電車を利用した経験がある。満員の車内をようやく抜け出ると、タイピンがなくなっていたり鞄や靴に傷が付いていたことなどを思い出す。若いころはその異常さになんとか耐えられたものの、体は受け入れられず、腹の具合が悪くなってよく駅のトイレに行ったりした。

 生活環境の変化によってよりどころがなくなり殺伐とした現代。皆、相当なストレスをためているのは確かだ。この状況で人は、なにかしらのはずみで抑制がきかなくなる。満員の電車は、車輪のついた箱の中にライオンと虎とワニがぎゅうぎゅう詰めにされているようなものだ。前述の彼もそのことを危惧している。朝夕の電車は当然、妊婦や赤ん坊、子供、老人が乗れるような乗り物ではない。たまにそういう世代が乗車するのを見ると、心配になる。年をとったら、便利な東京で生活するのがいいという人がいるが、よくよく考えてみてほしい。80歳になって、朝夕の電車に乗れるだろうか。一極集中の弊害ともいえる満員電車や混雑は解消すべき問題だ。まずは、時差通勤をおすすめしたい。
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