SSブログ

銀座の画廊 [制作]

090714_ginza.jpg

 仕事の合間に銀座に行き、画廊を2つ回る。1軒めは、文具店上階のギャラリーで開かれたAさんの個展。イタリア滞在で制作した水彩画とアクリル画。アクリル画は鮮やかさと深さを兼ね備え、構図を含めて、作家が生来もつ感覚がイタリアの風景によって引き出されている。広いギャラリーを埋めるのに十分な作品数。今年は画集も制作し、販売していた。Aさんとしばらく話をする。
 2軒めは、友人が参加した老舗画廊の10人展。作家は在廊していない。新しい内装の室内に小品が並ぶ。友人の作品は一つの様式をもっている。こちらは小さな画廊だが、マチエールが心に蓄積するような油彩が多かった。じっと見ると、対話を生み出す。
 実を言うと、私は画家と絵の話をするのが苦手だ。以前から感じているのだが、会話がまったくかみ合わない。つながるのは、せいぜい画材の話題ぐらいだろう。あとは言葉の上滑り。その原因は、私の絵の見方の狭さのせいもある。「絵の見方は自由であり、どう感じてもいい」などとよくいわれる。しかし私は、非常に限られた要素と、ある一つの視点から画家の仕事を見る。それはもちろん、言葉で判断しているのではない。一方、はたで見ていると、画家同士ではけっこう話のやり取りが進むことが多い。彼らが何を話しているのか、私にはさっぱりわからない。無理をして話すと、いつも自己嫌悪に陥る。
 画家自身は、他人から作品をほめられて悪い気はしないだろう。ただし、作品の出来に満足していない作家は、賞賛を素直には受け取らない。たいていの場合、賞賛される要素と本人が目指す地点がまったく異なるからだ。それがわかるから、余計と話がしにくい。画廊は本来、黙って見て、黙って立ち去るのがいい。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

トラックバック 0

画廊にて坂本龍一 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。