歩数計

　２年前に会社でもらったままほうっておいた歩数計を、ある日何気なくズボンのポケットに入れて出勤した。帰宅後、ポケットから取り出してカウンターを見ると、7000歩を超えている。距離にしておよそ３km。予想以上に歩いていることに気づいた。通勤では、新宿駅のホームに降りてから会社まで徒歩で15分近くかかる。バスに乗れば楽に行けるのだが、日頃の運動不足を補うため歩くことにしている。歩くことで、体調がよくなるなど心身に変化が表れた。
　私の歩く速度は普通の人よりも速い。適度な運動になっているのは自覚できる。しかし毎日歩くことを維持するには、なんらかの目安というか、楽しみが必要だ。それを歩数計が担ってくれている。カウンターが10000歩を超したときなど、満足感すら感じた。本当はもっと歩きたい。できれば、都市以外の土地を。崩れてきた心身を、歩くことで部分的にでも修復する。今の自分にとって、歩くというのは大切な行為だ。