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美術鑑賞 [街]

 三鷹センターにある画材店に寄ったあと、三鷹市美術ギャラリーで「ラウル・デュフィ展」を見る。まとまったかたちでデュフィを見るのは初めて。1900年前後のフランスを生きたこの画家が、どのような制作の変遷を経たかに興味があった。
 会場に入り初期の油彩を見ていると、警備員が近づいてきて、線の内側に入るなという。足下を見ると、グレーのラインを踏み越えていた。テニスでいえば、フットフォルトである。これで3割がた鑑賞する気持ちが萎えた。さらに、いつものように監視員の女性たちの突き刺さる視線で5割がた興がそがれる(つまり、気が散る)。彼女らは連携して移動しながら、来場者の挙動を逐一監視している。作品を見に来たにもかかわらず、私は彼女らから自分に向けられる視線がかなり気になってしまう。こちらはさながら犯罪者の気分だ。いつものように、残りの2割の気力?で作品に目を向けた。そして、長い時間をかけることで作品に集中した(これはこれで、さらに監視員の注意を引く行為になる……)。
 周知のとおり、この状況は三鷹市美術ギャラリーに限らず、国内ではあたりまえのこと。子供が館内でちょっとでも大きな声を出そうものなら、「お静かに」と言われ、ガムをかんでいると、足音もたてずにすっと近寄ってきて、ガムはご遠慮くださいと注意される(中には、ちり紙を差し出す美術館もある)。
 借り物展示の宿命か、国内の美術館はいらぬ気を使わなければならず、集中して作品を見ることがむずかしい。「客」は来場者ではなく、あきらかに作品のほうだ。大型の企画展を別にして、これでは、来場者は増えないだろう。以前、ニューヨークのメトロポリタン美術館に行ったことがあったが、そこではまったく気兼ねなく名画を身近に見ることができた。場所によっては写真撮影もOKだったのには驚いた。じっくり絵画を見るなら、外国に限る。
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