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抽象画 [制作]

 100年前のフランスの画家が描いた絵画は、印象的であり写実だと思われている。しかし写実にとどまっていたのは、その後を追いかけた後世の画家たちであり、フランスの画家の仕事は極めて抽象的な次元で行われていたと思う。そして抽象といえば、ピカソを始めとするキュビズムの画家やダリ、米国を中心とした現代美術などが挙げられるが、昔のフランスの画家たちが成し遂げた仕事の功績はそれら以上に大きなものだ。100年前の画家は絵画という仕事を、色彩とデッサン、ストロークだけで推し進めた。対象の本質を眼と脳で把握しながら絵画空間を制作することが、もっとも重要である。つまり、対象から得た感覚を、画家の眼と頭脳で変換して表現する。これはすでに写実ではない。風景画にしても、実際の当時の風景(写真)と作品を見比べると、驚くべき変容(変調)と取捨選択が確認できる。言い方を変えれば、写実の意味が違う。私はその変調を知るとき、愕然とするのだ。変調の地平は、想像を超えた場所にあった。その先端の仕事はいまなお解き明かされてはいない。
 現在の人々はピカソやダ・ヴィンチを天才と称するが、彼らの「抽象画」や肖像画から、文学的要素や主義、科学的要素、社会的要素を抜き去ったら、何が残るというのか。そこに絵画はあるのか、はなはだ疑問だ。確かに彼らは天才なのだろう。しかしながら絵画は、つくられた天才や科学者など求めてはいない。
タグ:抽象画
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