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平田王子 Live at Blue moon [音楽]

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(写真は6月29日撮影)

 金曜の夜、三鷹のバー「Blue moon」で平田王子(きみこ)さんのライブを聴く。自らギターも弾くボサノバのシンガー。ジョビンのほか、自作曲やハワイアンも歌う。実は昨年の夏、同じ店で開かれた平田さんのライブを聴き逃した。それが気になって、私はAmazonで彼女のCDを2枚買った。これが予想どおりよかった。そのうちの1枚は渋谷 毅(ピアノ)とのデュオだ。
 ボサノバの生演奏を聴いたのは今回で2度目。1度目は、恵比寿で聴いた小野リサ。もう10年近く前になる。平田さんは同じスタイルのプレイヤーだ。今回はサックス(千葉 章)とドラム(大澤基弘)のトリオ。彼女は気さくで、演奏は終始ゆったりとした雰囲気の中で行われた。また、この緩さはBlue moonというバーによるところも大きい。店内は長方形で、スペースの半分以上がカウンター席になっており、演奏者は入り口を背にして客席に向く。ステージというものはない。入り口はガラス張りのため、演奏者ごしに道行く人やクルマが見え、ちょっと変わった背景のライブになる。
 私はアントニオ・カルロス・ジョビンを中心にボサノバを聴いてきた。この、社会のあわただしさやばかばかしさから抜け出た、避暑地で響くような平穏な音楽は、ある種の平静を与えてくれる。都市で生まれた音楽なのに、無軌道さがなく、自然に根ざしているように感じられる。私はボサノバに関する歴史や知識などはなにも持たず、水を飲むようにこの音楽を聴く。まさに「おいしい水」のごとく。
 平田さんは、ギターの音色のよさと確かなテクニックの上に、微妙なゆらぎを持った歌をのせる。ゆらぎがうつろいを呼び起こす。抑揚がなく、遠くブラジルから届いているかのような声の粒子。それはまぎれもなく、ボサノバなのだ。いうまでもなく、うまいとかへただとかの世界とは無縁。そこに感覚があるかないか。トリオ構成のせいか、今夜の曲目はややポピュラー音楽よりのものが多かった。客層や気分に合わせて自由にやっている感じ。それもまたライブの味になる。
 演奏が終了し客が引けた後、平田さんとパレードの店主、マスターたちと話をした。平田さんは歌の印象とはちょっと違って、ちゃきちゃきした感じの女性だった。初対面の人間の問いかけにも気さくに応えてくれる。もっぱら、日本を代表するジャズピアニスト兼作曲家、渋谷毅さんの話題になる。彼が凝ったアマチュア無線、クルマ、囲碁、サーバー運用のことなど。先日渋谷さんとも演奏後この店で飲んだのだが、彼の平田さんに対する評価は高い。二人は近年各地で演奏を行っている。明日は朝早くから渋谷さんと新潟に行くとのこと。プロのミュージシャンは基本的に旅仕事なのだ。
 真夜中に雨が降り出し、ギターを共演者のクルマに積んで彼女は帰路についた。音楽に生きる人間の世界を垣間見た気がした。私はミュージシャンに憧憬をよせる。

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