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三岸節子展 [美術]

 日本橋高島屋で三岸節子展を見る。初期の自画像から欧州で描いた風景画、遺作となる花に至るたくさんの作品が展示され、見応えがあるどころか、しまいには疲れを感じるほどだった。それは当然だろう。94歳で亡くなるまで精力的に描き続けた人の、長い画業をいっぺんに見るのだから。いずれの絵も、試行の跡が厚みになり、迫力となって表れている。
 芸術家に必要なのは、感覚と思考、技術だが、私はそれを支える「気質」が最も重要だと思う。もとより、絵画の仕事は5年、10年でどうにかなるものではない。自分が思う高みに近づくのに何十年もかかる。その実感がつかめたとすれば、それだけで幸運だ。感覚と思考、技術があったとしても、気質を持っていなければ94歳まで描くことはできない。
 では気質とはなにかと問われれば、答えることは難しい。制作意欲という単純なものではないからだ。映像の中の三岸節子はそれを「業」と呼んでいた。生まれ持ったものでもあり、その後に得たものでもある。また、得たものばかりとは限らない。三岸節子の絵を見るとき、技術に頼る自分の錯覚に気がつく。
タグ:三岸節子
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