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'80年代 [生活]

 このところ、NHKなどで'80年代のテレビ番組を再放送している。そのいくつかを観て感じるのは、あの時代の人間が持っていたある種のおおらかさだ。出演者が放送中にたばこを吸っていたり、いまでははばかられるような発言をしたり、自分だけのペースで間をとったり。'80年代に限らず、それ以前のテレビでは、出演者がたばこを吸うのはごく日常的にあった。私は喫煙はしないし煙は嫌いだが、いまだってそれぐらいの奴がいてもいいだろうと思う。もっとも、スポンサーあっての「広告資本主義」のテレビの世界では、もってのほかということになるのだろう。私が持っているビデオテープの中の清志郎は、「夜のヒットスタジオ」のライブでカメラに向かってガムを吹き出した。今観ても、挑発的でさすが清志郎だと感心?する。
 それにしても、現代はなんとも窮屈になったものだ。皆、気を遣いすぎである。総じて臆病になってしまったのだろうか。あるいは、「和をもって」のなれのはてか。使う言葉や仕草が限定されていてかたくるしい。'80年代のざらざらした感触、粗雑な感覚が、二十数年たったいまではつるつるのビニールのようになってしまった。
 表現が過剰な束縛を受けていることは、'90年代から問題になっている。資本主義やメディア、政治の影響も大きいだろう。ただし、それ以前に、人々が自制しているように思える。テレビに映る'80年代の人々の眼には、なにかを吸収したいという強い欲求が表れていた。それに応えるかのようにその後、モノと情報、イメージは加速度的に増加し、いまに至っている。その一方で、われわれは何に充足し何を失ってしまったのか。就職すらままならない状況の中で、各人のもつ時間だけが、暴力的に消費されている気がしてならない。立ち止まって考える時期が来た。
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Sanchai

こんにちは。テレビを通じてではないのですが、私も最近小説を通じて80年代の良さ、懐かしさというのを感じたことがあります。

自分が喫煙しないので変わったという実感はあまりないのですが、私が会社勤めを始めた80年代末は、新人の最初の仕事はオフィスの周りの吸い殻拾いでした。社員が掃除をするのも、タバコが横断歩道のところに大量に落ちているのも、当時は当たり前の光景だったように思います。

仕事で新人や学生インターンと接する機会がありますが、当時の私達と比べると、なんだかすごく真面目になりましたね。社内で勉強会が大盛況ってのも…。昔は飲みに行っていたんですけどね。
by Sanchai (2009-08-08 17:57) 

yotaka

こんにちは。昔の社内はたばこ臭くて、壁は黄色。道にもたくさん吸い殻が落ちていました。いまのオフィスや街はだいぶキレイになりましたが、照明が明るいだけで、印象が薄く特徴がありません。たしかに、私も以前の会社では飲みに行く機会は多かったです。いまは、せいぜい送別会くらいでしょうか。自分でもだいぶ出不精になったと思っています。
by yotaka (2009-08-08 21:01) 

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