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形の悪い果物 [制作]

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 形の悪い果物を探している。都市に住む絵描きにとって、モチーフ探しは切実な問題だ。風景や人物などを見つけるのもたいへんだが、静物もなかなか難しい。人工物ならば、まだ楽だろう。しかし、例えば果物。絵になる果物を見つけるのは至難の業だ。それはなぜか? スーパーで売られている果物は、形や色が整いすぎているからだ。
 例えばリンゴ。売られているのは皆まったく同じ色と形、サイズだ(しかも日本のリンゴは大きい)。これを並べても絵にはならない。よく、絵画教室などで、油彩でリンゴを描いて難しいと悩んでいる人を見かけるが、そんなときそれはあなたの腕のせいだけではありませんよ、と言ってあげたい気持ちになる。日本のリンゴは、油彩のモデルに向かない。大量消費という型にはめるため、人の手が必要以上に加えられた形と色の代物。プラスチック製の偽物と大して変わらない。試しに100年前のフランスの画家によって描かれた絵を見てほしい。そこにあるリンゴは形や色に違いがあり、陽が当たらなかった面が黄色く、色合いが豊富でそれぞれが個性を放っている。絵画制作に必要なのは感動。それを受けるだけの存在感をもったモチーフが、この仕事には必要なのだ。
 今日、道ばたに桃が数個落ちているのを見つけた。見上げると、とある邸宅の庭から広がった木にたくさんの桃がなっている。落ちた桃たちはほとんど傷んでいたが、色、形ともに自然本来の姿を保っている。天からの恵みを3個持ち帰った。
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