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2013.07.21 LET'S VOTE [政治]

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 参議院選挙が告示され、選挙戦が始まった。今回の選挙の争点は改憲や原発再稼働、TPP、消費税増税などの大きな問題が目白押しだ。TPP以外は自民党が火を付けたものばかり。野党各党はいずれの問題にも賛否を表明する必要に迫られ、選挙戦の焦点を絞りきれないでいるように見える。その提言は濃淡こそあれ、みな似たり寄ったりの印象だ。こちらには強く響いてこない。
 例えば社民党。改憲・原発再稼働・TPP・増税・アベノミクスのいずれにも反対を表明し、「強い国よりもやさしい社会」というスローガンを掲げている。安倍政権が目指すところは、日本を戦争に参加できる強国にすることだ。改憲を行い、その路線でいくならば、将来徴兵制が復活する可能性さえある。この点は大いに危惧しなければならない。しかし、社民党が掲げる「やさしい社会」が、安倍政権の押し出しに対抗できるテーマだろうか。党首の福島みずほさんは法律の専門家なのだから、安倍政権の改憲を徹底的にたたき、立憲主義の維持に最大限の力を注ぐべきだろう。
 いろいろな「仕込み」を行っている安倍政権が今回の選挙で声高に叫んでいるのは経済の復興だ(東北や福島の復興ではない)。景気がよくなる日本のイメージ。凋落した日本の復活。アベノミクスなどというその場しのぎの手法をアピールしているが、これはこれで、不景気にあえぐ市民の意識にじわりと響く。「強い国」も、領土問題における中韓あるいはロシアとの摩擦が生まれている現在においてナショナリズムをくすぐる。周到に、改憲・原発再稼働をテーマに挙げてはいない。
 結局のところ安倍政権は、経済界や産業界、大企業、ネット右翼と呼ばれる若い層などの組織票をすべて刈り取って、この選挙を乗り切る作戦なのだろう。投票率が低いいま、それらの組織票を得ることがすなわち勝ちにつながる。原発再稼働という最も危険なコマを進める政党が参議院第一党になる。言い換えれば、自民を支持する人々が求めているのは「安全・安心」な社会ではなく、やはりまずは金だ。豊かさの基準がいまだに金でしかない。
 いまわれわれは、「金」と「安全・安心」のどちらを選ぶかの瀬戸際に立っている。この選挙で、その結果が明らかになる。原発再稼働を推進し、TPPに参加することを誓う自民党を勝たせるということは、安全・安心よりも金を選ぶことにほかならない。立憲主義を打ち消し、公益(この場合は政権側の利益)を優先する憲法改悪を目指す自民党を勝たせることも同様だ。
 自民党の対立軸になりえなかった稚拙な民主党は壊滅状態。そのうえ、野党各党はばらばらの立ち位置を保ち、大きなうねりを起こせそうにない。ネットを使った選挙活動はいまのところは組織的な動きにたけた自民に有利なツールとなるだろう。野党はこれを有効に使う術を考える必要がある。
 安倍は2塁打を放ち、野党各党はスリーバント失敗。このままいけば、またも自民圧勝となる。せっかく衆議院の縛りとして歯止めになっていた参議院が自公の色に染まる(現在はけっして「ねじれ」ではない)。それはすなわち東北や福島の復興にはつながらず、またぞろ役人天下の復活だ。
 今回の参院選比例代表において野党で唯一コマを進めるのは共産党かもしれない。期待はずれだった民主の次の政党として市民が目を向けはじめたからだ。6月の都議選では議席数を伸ばした。昔の話はどうあれ、3.11以前から原発、原子力ムラに厳しくのぞんでいたそのぶれない姿勢が少しずつ市民の理解を得ているのだろう。また、山本太郎氏などの逸材が数人光り始めたのも収穫だ。
 安心・安全は倫理に通じる。市民が倫理よりも自民(金)を選べば、大企業とごく一部の富裕層、そして役人が喜ぶ社会が出来上がる(もっとも、ほうっておいてもグローバル化の影響で所得格差は広がっていくだろう)。これを見越したように、全国の電力会社が原発再稼働の申請を計画し始めた。世の中、いい意味でも悪い意味でもつながっているのだ。前述した諸問題もすべて根は同じ。結局尻ぬぐいは市民自らがすることとなる。
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