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本多真理子展「from UNDERGROUND」 [ART]

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 銀座のGALERIE SOLにて、本多真理子展を見る。インスタレーションなので正確には体験する、が正しいだろうか。タイトルは「from UNDERGROUND」。彼女の個展に足を運んだのはこれで4度目だ。近年の主要素材である赤い毛糸を用いた作品。今回もまた、いつものように意表をつく構造だった。とはいえ、決して奇をてらったものではない。時間や重力を内包した、非常に深みのある内容の作品となっている。
 思い起こせば'80年代、銀座の画廊にはこのような作品が数多く展示されていた。勢いのあるコンセプチャルアートが多彩に開花した時代。本多さんの作品はその系譜を引き継ぎ、現在の世界の様相を反映する。
 3D CGのワイヤフレームを彷彿させる直線的な赤い毛糸。鉄パイプを支点に、毛糸の一方には丸い石、もう一方には水の入ったビニールパック。バランスが保たれたそれらが合計12個並ぶ。パックの底には点滴のように針が差してある。石のサイズはまちまちで、その重さに合わせて水の量が決められている。それぞれのパックには水量と思われる数字、そして展示開始から終了までの日付が書かれてある。今日の日付が記されたパックの針先の栓が外され、水滴がぽつぽつと垂れている。床には、ペット用の粗い砂。水滴はその砂に染みこむ。作家は今朝画廊に来て、栓を外したという。展示期間中は毎日、栓を外すのだ。
 水が針先からこぼれてパックが軽くなったとき、糸の一方に吊された石が床に落ちる。そのとき石は、コトンと音をたてるのだろう。この、現象ともいえる作家の所作を読み取ったとき、われわれは果てしのないこの世界に流れる時間と変化を感じる。この時間は、この変化はだれの意思によるものなのか。その問いを受け取って、画廊を後にするのだ。われわれにとっては有限である時間と、自然物としての変化を知る。それが生きることなのかもしれないと思う。

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