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4号機燃料プールと双葉断層 [原発]

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 いわきのローカル紙「日々の新聞」第216号の1面に以下の見出しが掲載された。「福島第一原発で直下型地震が起きやすくなっている」。東北大学大学院理学研究科教授の趙大鵬さんの研究結果に関する記事だ。趙さんは「地震波トモグラフィー」という方法で地下の状態を探り、「双葉断層に注意すべきです。地震が起きる時期は把握できませんが、地震計を周囲に密に置くなどして最新の技術を駆使し、応用すべきです」と語る。政府の特別機関である地震調査研究推進本部は双葉断層の位置を宮城県の亘理町から南相馬市までとしているが、実際にはいわき市久ノ浜町まで連続する大規模な活断層で、福島第一、第二原発のそばにも存在するという。
 趙さんたちは地震波トモグラフィーで福島第一原発の地下を画像化。それによれば、昨年4月11日に震度6弱の地震を起こした井戸沢断層のあるいわき市南部の地下の画像と似たプレートからの水(流体)の存在をつきとめたとのこと。「福島第一原発の地下で直下型地震が起きやすくなっていて、原発施設を強化することが大切」との論文を2月14日発行のヨーロッパの専門誌に発表した。
 さて、福島第一原発でいまいちばん注視しなければならないのは、4号機にある燃料プールだろう。水素爆発による崩落でぼろぼろになった建屋のプールに現在1500本以上の核燃料棒が格納されている。このプールの冷却水がいまの日本人の命綱だ。核燃料棒の取り出し作業を始めることができるのは2013年の12月、およそ2年後だという。
 双葉断層と4号機にある燃料プール。この2つの要素を交差させて考えたとき、私は怖ろしさで憂鬱になる。もし趙さんが指摘するような直下型地震が福島第一原発で起きた場合、4号機の燃料プールはそれに耐えうるだろうか。万が一、プールにヒビが入るなどして冷却水が漏れれば、むきだしの燃料棒がメルトダウンを起こし、膨大な量の放射性物質が放出されることになる。そうなれば、もはやだれもそれを止めることはできず、福島はおろか関東を超える300km、400km圏に汚染が広がるのは間違いない。そのとき、小出裕章さんがいうとおり、日本は終わる。
 われわれは3.11以前のような日常を取り戻したかのごとく、原発事故の惨状を忘れかけて生活しているが、その日常の底にある危機は変わらずに重く存在する。いまこの瞬間にもその危機は目の前に現れ、われわれの生活を一変させてしまうかもしれない。燃料棒の取り出しが始まるまでの2年の間に双葉断層の地震が起きる可能性は否定できない。それを思えば、東京の街が砂上の楼閣に見えてくる。
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