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アートフェア東京 2011 [ART]

 有楽町の東京国際フォーラムで開催されている「アートフェア東京 2011」に行く。すぐ入れるものと思っていたが、入場するまでおよそ30分ほど行列に並ぶ。同展のメインスポンサーはドイツ銀行グループだ。ドイツは芸術家を手厚く援助している国だが、アジアの島国の美術展まで支援するとはどういうことだろうなどと思いながら会場に入る。
 ホールはたくさんの画廊が迷路のように配置されていた。私はアートフェア東京に来たのは初めてだ。特に目当ての作品はないので、気の向くまま適当に歩く。来場者は若い世代が多い。現在の作家だけではなく、小磯良平の婦人像や熊谷守一の猫なども展示されていた。ピカソの版画から浮世絵、コンテンポラリー、陶芸まで、ジャンルは幅広い。日本画では、千住博の屏風絵が厳格な質量感を表していた[1]。次いで、横尾忠則のタッチを確かめる[2]
 基本的には各画廊とも、新進の作家を紹介しており、それらのうちで数万〜二十数万円程度の作品が売れている。最近注目されている超写実作品(主に女性の肖像と裸婦)のブースがいくつかあった。そのうちの女性の肖像画はなぜかずいぶん買い手がついていた。このほか、幼児や少女、アニメ的キャラクターをモチーフにした作品はなんだか食傷気味。感覚的にもはや消費されてしまっている。ただし、以前雑誌で見たことがある、少女をモノクロのグラデーションで描いた興味深い作品があり(作家名失念)、そのはかなさ、死のイメージは印象に残った[3]
 ノルウェーに3カ月滞在した経験を基に制作した福重明子の作品(シルクとドローイング)は、北欧と日本の融合[4]。気候が作家の感覚を鋭敏に変えた。OSAKI Nobuyoshiは、描き上げた人物画の絵の具が溶解するさまをビデオで表現した「solubility world」を出品[5]。そのさまはベーコンを彷彿させる。源生ハルコは鉛筆画とカラーペイント[6]。子供と金魚といったモチーフが面白い。上須元徳のアクリル風景画は、空間の佇まいと階調が眠っていた感覚、あるいは認識を呼び覚ます。hpgrp GALLERY 東京が展示したのは大矢加奈子の「風景2 2010」[7]。カシューという素材の液状感と油彩、アクリルの色調がいい味を出していて、モチーフ(外国のゴミ集積所?)も面白い。
 メインホールよりもロビーギャラリー(開廊5年以内の若手現代アートギャラリーを中心としたセクション)のほうがコンテンポラリーで見るべき作品があった。そのうちの多くの作品は難解さがなく、親近感を醸し出している。中国の作家も出品しており、開放感があった。
 注目の作品をまとめて見ることができる点に本展のようなイベントの価値があるのだろうが、どうしても場の雰囲気が、展示会特有の窮屈さと落ち着きのなさによって煩雑になってしまっている。できればもっと広い会場で見たいと思う。しかしいまの日本の状況ではたぶん経済的に難しいのだろう。あるいは、今年が変則的な開催日程になったせいか。せめて、ジャンル別にブースを分けてもらいたい。とはいえ、関西方面からの参加も多く、日ごろは接することがない作品に出会える利点はある。少なからず刺激を受けた。

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