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韓国の躍進 [世界]

 '96〜2004年ごろ、取材でひんぱんにPC/ITやエレクトロニクス系製品の展示会へ行っていた。場所は幕張メッセか東京ビッグサイト、ときどきアメリカ。2000年ごろまでは、出展社は米国や日本のメーカーが多数を占めていたが、それ以降になると、韓国あるいは台湾のメーカーが少しずつ増え始めた。とはいえ、ほとんどのメディア(主に雑誌や新聞記者)は米国や日本メーカーのブースに足を運び、韓国や台湾メーカーのブースは「ついで」に回る程度。面白そうな製品を発表するメーカーがあっても、パンフレットを受け取るくらいで、メディアが取材するのはせいぜいサムスンだった。

 そんな中、私は幕張メッセや東京ビッグサイトで韓国や台湾メーカーの小さなブースを訪れた際の応対に、日本メーカーとは異なる印象を受けた。それらはほとんどが新興企業で、ブースには来日した担当者が2、3人ほど座って、来場者やメディアが来るのを待っている。彼らに質問をすると、それなりに通じる日本語で応対する。中には流ちょうな日本語を話す人もいた。米国からの訪問者が来ると、今度は慣れた英語で受け答えをする。日本の展示会に来るのだから、それくらい言語が堪能なのはあたりまえかもしれないが、私が意外に思ったのは、彼らが皆若いという点だった。日本メーカーのブースの場合、大手企業であっても多言語を話す社員はまずいないだろう。せいぜい英語だ。若い世代が日本語を話すことにちょっと驚いた。

 さらに印象に残ったのは、彼らの真摯な姿勢だ。こちらの質問に120%の答えで対応しようとする。これが日米のメーカーになると、せいぜい30%くらいだろうか。展示会や発表会にもかかわらず、とおりいっぺんの答えしか返ってこず、なんだか冷めている。場合によっては、「のちほど連絡します」とか、「広報に確認してください」ということになり、対応としては「守り」だ(開発者に出会えれば話は別だが)。それに比べ、韓国や台湾のメーカーの若い担当者たちの前向きな対応には好感をもった。自分たちの製品を知らしめるための意欲が強く、熱がある。製品が面白いなどと名刺を渡せば、後日こちらの会社に訪ねてくる勢いがあった。

 現在、韓国メーカーの躍進が著しい。よくいわれるのは、その適応力だ。各国の顧客ニーズに合わせた製品づくりが的確で早いという。いわゆるマーケティングと開発部門の風通しがいいのだろう。しかしそれだけではない。彼らには熱心さがあった。これは営業活動において、第一に必要なことだ。今年に入り、家電市場においては松下やシャープ、東芝、ソニーなど日本メーカーが束になってもサムスン1社の売り上げ高に及ばない、ということが報道された。いつの間にか立場が逆転していたのだ。数年前の展示会での韓国ブースを思い出すとき、この躍進の萌芽はすでに表れていたことに気がつく。
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