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20世紀の名住宅物語 [建築]

 NHKのBS Hi-Visionで「20世紀の名住宅物語」を見た。初回放映は2006〜7年。今回で再々放送くらいだろうか。ライトやコルビュジェ、アールト、バラガン——など10人の建築家が設計した住宅(自邸もあり)を、人物が訪問するかたちを取りながら、建築家自身や施主にまつわる物語を交えて紹介する番組だ。全編を通して流れる音楽はレイ・ハラカミ。

 ハイビジョン映像で見る名住宅はディテールがよくわかり、微妙な光や陰影、空気感さえも感じられ、その魅力を十分に映し出している。住宅のあるべき姿を個々にじっくりと提示している点で、建築を生業にしている人に限らず、多くの人々が見るべき番組だと思う。どの回をとっても、構成がよく練られていて、10とおりの近代住宅の在り方、自然との関わり、建築家の思考の深さを印象づける。特に私は、住宅建築における良質な空間、そしてゆったり流れる時間の希少性を強く感じた。居心地のよさ、幸福感、光と陰影あるいは孤独。「良質」のとらえ方はいろいろあるが、いまのわれわれに必要なのは、モノではなくわれわれを包む空間なのではないだろうか。その点でリチャード・ノイトラやルイス・バラガンの自邸は魅力的だ。これらの住宅がいまに残されていることは奇跡に近い。

 驚くべきは、番組で取り上げた住宅が今から50〜78年前に建てられたという事実。構想の斬新さと生活重視の両立。それを考えるとき、実は未来はすでに過去にあったのではないかという思いにかられ、見終わるたびに深いため息が出る。


20世紀の名住宅物語 「浮世絵の啓示~フランク・ロイド・ライト 落水荘~」 「埋め込まれた記憶~ル・コルビュジェ サヴォア邸~」 「ガラスの覚醒(せい)~ミース・ファン・デル・ローエ」 「ふたりの森の家~アルヴァー・アールト」 「モダンという戸惑い~ヴァルター・グロピウス」 「生存へのデザイン~リチャード・ノイトラ」 「ピエール・コーニッグ~ケーススタディハウス#22」 「チャールズ・ムーア~シーランチ・コンドミニアム~」 「ルイス・バラガン~バラガン自邸~」 「曲線の序奏 オスカー・ニーマイヤー~カノアスの家~」
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