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死んだ女の子 [音楽]

 元ちとせが歌い、坂本龍一が演奏した曲「死んだ女の子」。広島に落とされた原子爆弾で、紙切れのように燃えて消えてしまった幼い女の子の叫びと願いを歌っている。トルコの詩人ナジム・ヒクメットがつくった即興詩が元になり、さまざまな国で翻訳、演奏されているという。日本版の作曲は外山雄三。

 元ちとせの歌は強く悲しく、坂本龍一のアレンジ、音色、演奏は秀逸。2人によるこの曲のライブは、2005年8月5日にTBSテレビのNEWS23で放映された。場所は原爆ドームの前。この曲の芯には、聴く者の心を締めつける狂おしいほどの想いがあり、坂本龍一が奏でたリフレインはそれを表しつつ深い印象を残した。薄ら寒く、殺伐としたときだからこそ、この歌の痛みを強く感じる。

 第二次世界大戦では数千万人の人間が殺されたという。周知のとおり、それは遠い過去の話ではない。人間の社会は、一歩踏み外すだけでいまでもすぐに狂気の時代に変化する危うさを持っている。それがまぎれもない現実だ。この踏み外しをいまでも意図的に繰り返している国がアメリカであり、私はこの大国がもつ狡猾さが許せない。2つの核爆弾投下は、核による世界支配の先鞭をつけた計画的な犯行だ。そのきっかけを与えてしまったのは愚かな日本やドイツだが、視点をそこに定めてはなにも見えなくなる。

 一瞬で殺された一人の女の子と大国アメリカ。この対比に思いを馳せることこそが、次の世界へ進む足がかりになる。その子の魂は、この歌のようにいまも現世をさまよっているのだろうか。そうだとすれば、われわれにはなにができるのか。今日、「死んだ女の子」を何度も聴く。
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